相続放棄をする場合の家の片付け
1 家の片付けの問題点
人は、何も所有せずに生活することはできません。
居住する場所、衣服、家電、家具、日用品などが必要になります。
そうなりますと、ある人(被相続人)が死亡した場合、必ずその人の所有物が遺品として残されることになります。
ここで問題となるのが、法定単純承認です。
民法921条1号は、「相続人が相続財産の一部を処分したとき。」(処分行為)を法定単純承認事由として規定しています。
例えば、被相続人がアニメのフィギュアを収集していて、部屋がフィギュアで溢れている場合に、そのフィギュアを廃棄してしまうと、フィギュアには財産的価値が認められれば、法定単純承認事由としての処分行為に該当し、単純承認したものとみなされその後相続放棄をすることはできなくなります。
他方、明らかに財産的価値のないもの(被相続人がゴミ箱やゴミ袋に入れて廃棄しようとしていたものなど)や、冷蔵庫で保管されていて取引的価値がないもの(短期の消費期限があるものや、使いかけのものなど)については、「相続財産」にはあたらないと解釈することができますので、廃棄しても問題は生じないでしょう。
では、被相続人が使っていた衣服や家具、家電などはどうすればよいのでしょうか。
2 判断の目安
リユースショップやリサイクルショップでも買い取ってくれない(または極めて低い買取価格しかつかない)ものであれば、廃棄処分しても、相続放棄で問題になることはまずないでしょう。
他方、リユースショップやリサイクルショップなどでそれなりの買取価格が付くものについては、それを廃棄したり売ったりしてしまうと、法定単純承認事由としての処分行為にあたることになりますので、とりあえず保管し、相続放棄を行った後に他の相続人に委ねることになります(他に相続人がいない場合は、法理論的には、相続財産清算人の選任申立てを行い相続財産清算人に管理処分を委ねることになります)。
なお、被相続人が相続人とは別の場所に住んでいて、相続放棄を行う相続人が放棄の時に被相続人の財産を現実に占有していなければ、被相続人の財産を保管する法律上の義務はありません。
3 実際にどこまで問題になるか
被相続人の遺品についての片付けについては悩ましいところもありますが、まず、相続放棄をしない相続人が存在し、連絡が取れるのであれば、当該相続人に管理や処分を委ねてしまうとよいでしょう。
また、法定単純承認が問題となるケースの多くは、被相続人に債権者が存在し、相続放棄の効力を争うケースです。
そのため、債権者が存在しない場合は、遺品の片付けについてそれほど気にする必要もない、ということもできます。
被相続人の遺品の片付けについては、弁護士等専門家のアドバイスも受けつつ、対応するとよいでしょう。
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